多焦点眼内レンズ

今日は、眼科手術学会の中日ですが、最も話題になっているのが、多焦点眼内レンズ移植術でした。
深作眼科では、もうすでに多焦点レンズ移植術を開始しています。老眼を治して、近くも遠くも裸眼で見ることは、長年の夢でした。
40才代半ば以降の方は、だんだんと近くが見えにくいことを自覚してきます。この多くが老眼によるものです。かなりの人が近視、遠視、老眼への正確な理解が欠けています。近視の人は老眼にならないと主張する人がいます。もちろん間違いです。近視の人はメガネがないと遠くは見えないのです。その代わり、近くは調節しなくてもピントが近くに合っているので近くのものが、老眼世代に入っても見えます。でも、遠くに合わせたメガネやコンタクトレンズをつけて遠くを見えるようにすると、近くは調節不足で見えないのです。
年齢とともに、眼のレンズにあたる水晶体が硬くなり、調節が出来にくくなるとのヘルムホルツ説が信じられています。私はこれは単純すぎる説と思いますが、基本的には主な原因として正しいと思います。老眼を治す試みは従来から、我々のアメリカのドクターを中心に試みられてきました。私がアメリカの学会でグランプリをとった、調節の理論が調節性眼内レンズとして欧米で製品化されています。これは理論は正しいのですが、製品がまだ中途半端なために、調節力が年月と共に減ってきます。
これに対して、眼内レンズが光を遠方と近方の両方に分けて、遠方と近方の両方を見る機能を持たせました。これを偽調節といいます。本当の調節ではありませんが、遠方と近方との両方の両者の情報が見え、このうち必要な情報を自分の脳が選んでくれます。
この多焦点レンズの特徴をもう少し述べましょう。利点はもちろん、遠くと近くが裸眼で見えることです。しかし、欠点の理解はとても重要です。まず、光を遠くと近くに分けるために、物から反射されて眼に届く光が分けられる事です。単純に言えば、半分の情報しか来ないのです。ものの見え方がくっきり度がやや悪くなるのです。特に、夜間のような光が少ない環境では、物が滲んだように見えるグレアー現象が見えたり、ものの周りに光の輪のようなにじみのハローが出ます。多焦点レンズにも大きく言って2種類あります。遠くが良く見えるのが屈折型レンズでReZoomというレンズです。若い人では遠くも近くも良く見えることが多いのですが、年配の方で瞳の開き方が小さい方は遠くは良く見えても近くは見えにくい方がいます。すると他方の眼には回折型レンズのTecnisMultiレンズやReStorレンズを使用します。回折型は近くは比較的に良く見えます。しかし、遠くは回折レンズの光の減弱がある程度多いので屈折型ほどには見えません。
これらのレンズの選択には、最初の優位眼を手術した後に、通常は屈折型ReZoomレンズを入れた後に、術後経過を充分に分析して、他方の非優位眼を回折型TecnisMultiレンズなどを入れます。
すでに述べていますが、白内障手術の芸術的な完璧な手術がとても重要です。中途半端な手術の出来では、多焦点眼内レンズが完璧な中心位置を保てなくなり、良い視力も得られません。光のロスがあるものですから、白内障手術時のカプセルの完璧なクリーニングが重要です。これはかなり上級のテクニックですので完璧なクリーニングは我々のような手術専門センターでこそ可能です。また、手術後の近視乱視遠視などの誤差は少ないほど良いのです。これも、我々のような最も経験の深い専門手術センターでこそ可能です。さらに万一誤差が出ても、普段から施行しているレーシックにて最新型のエキシマレーザーで手術後の微調整をいたします。これもとても重要なポイントです。
白内障手術後に老眼も治し、裸眼で暮らせるような眼を作る時代に入ってきました。白内障、レーシックで世界最高の技術と経験を持つ深作眼科に一度来院して相談してみたらいかがでしょうか。