目を守るには正しい目の知識や正しい眼の治療法を知らねばならぬ。


糖尿病に対しての画期的な治療法の『糖質制限』の大家である宗田先生と江部先生から直接多くの教えを受けました。この糖尿病の合併症である糖尿病性網膜症は、重症になると失明に繫がります。現実に、多くの糖尿病性網膜症が悪化して網膜剥離にまでなり失明している方が日本では毎年少なくとも数千人レベルでいます。公式には報告のある方だけですので年間に3千人と言いますが、おそらく失明者は毎年1万人程です。
 これらの患者の手術は非常に難しいのですが、我々が器具も含めて開発した小切開の硝子体手術なら治せます。治せるのに、日本では優秀な眼科外科医が少ない為に、間違った治療や劣った手術にて失明しているのです。
 我々は、毎年1000人以上の糖尿病による網膜剥離患者を、横浜と六本木の2か所の深作眼科で、最新の硝子体手術で治しています。しかし、若い方で多いのですが、せっかく治しても従来の糖尿病治療によって、ふたたび血管が破れて硝子体出血して見えなくなる方がいます。これには正直言って難渋していました。
 しかし、宗田先生との知己を得て、お教えいただき、『糖質制限食』と『ケトン体へのエネルギー変換』を実施して、それらの患者が救えるようになりました。

 ある私の患者の例で言います。27歳の男性がひどく進んだ糖尿病性網膜症での網膜剥離で来院しました。ほぼ失明状態であったのですが、何と本人は糖尿病に罹患している事さえも知らなかったのです。結構、糖尿病を気づかない人っているのです。
 血糖は400ほどと高くヘモグロビンA1Cも12%ほどです。網膜剥離が有るので緊急の手術をしました。幸いほぼ失明の方でしたが網膜剥離も治って視力も0.9出ました。患者は運転が仕事でしたが、仕事も復帰できたのです。
 さらに、本人が放置していた糖尿病のコントロールも必要なので、当時は内科的治療を糖尿病専門の内科医に紹介しました。ところが、問題は内科に紹介した後に起きたのです。血糖をインシュリンでコントロール始めた途端、血管がおかしなことになって行きました。
 私達のような網膜の手術専門家は毎回眼底の血管を詳細に診ます。僕らは、血管の動脈硬化や血管壁の変化や血管の太さの変化、血流の変化、血液の赤血球の動き等さえ拡大して見ているのです。おそらく、それができるのは私達のような網膜手術を普段多数例行っている眼科外科の上級者だけです。
 手術中の検査機械は我々がドイツの仲間とドイツで開発した広域網膜観察システムです。さらに、ドイツのライカとツアイスの手術用顕微鏡の評価を私は行い、常にその開発責任者のドイツやスイスの責任者に注文して修正させています。この結果、1000分の1ミリの幅さえ観察できます。この機械では細胞レベルの変化さえ見えます。
 ですから、今述べているのはまさに世界最先端の話題なのです。一般の日本の大学病院などのレベルの低い病院の話題ではありません。つまり元に戻って、簡単に言えば、一般の内科医は血管など見ていないのです。
 こうして、糖尿病内科の先生の治療の後に血管壁が非常にもろくなり血流が悪くなるのを観察して心配していたところ、数か月後にまた血管が破れて眼内の大出血で見えなくなりました。
 この方だけではありません。困り果てて、患者の食生活を聞くと、お米が大好きなのです。少々太っています。
 そこで、今後コメなど主食を含めて糖質を厳密に制限することを指示しました。もちろん低血糖を起こしていたインシュリンは最初は半分量にしました。さらに膵臓を刺激してインシュリンを出す内服薬のSU剤は中止させました。
 これは患者だけでなく私も強い決断が必要でした。患者は米も全く取れない厳密な糖質制限は辛そうでした。それなら主治医の私も同じように糖質を絶つから一緒にやってみようと勧めました。私は患者を診る時に、自分の家族だったらどうしたいかと看るようにしています。
 私は糖尿病ではありませんが患者を救うためにも、深刻な問題だった患者と一緒に糖質制限を努力することにしました。患者も主治医が同じことをやるならと同意して、糖質制限を開始しました。すでに破たんした血管と出血へは再度の硝子体手術で治しました。硝子体手術で目を治して、さらに糖質制限で安定化しようとしたのです。
 この結果は驚くほどの血管安定を示し、毎回の診察でも安定していて、視力も1.0まで回復してもとの運転手に戻れ、彼の家族の奥さんも小さな子供達も喜んでいます。
このように、糖尿病の治療では、未だに糖尿病の専門の内科医の方が糖質を大量に取らす食事を勧め、インシュリン投与を増やしています。糖質を取りインシュリンで急速に血糖を下げる血糖変動がどれほど多くの問題が有るのかを内科医は無視していることがあります。またインシュリン投与がどれほど多くの活性酸素を増やし血管をもろくするのかを従来の糖尿病専門の内科医は知らないようです。つまり、糖質制限で血糖の上昇を防ぎ血糖を安定化することと、できるだけ分泌や注射によるインシュリンの量を減らすことが大切なのです。脂質から分解され得られるケトン体のエネルギーも重要です。これらの重要性は、いつも重症の糖尿病性網膜症を治療している眼科外科医の我々の方が良く知っています。いかに、内科の世界も非常識な常識が定説とされている不思議な日本なのです。
 眼科の世界に目を向けますと、さらに多くの非常識なことが常識とされているとっても不思議な世界が日本なのです。目のことでも日本には間違った常識が蔓延しているのです。知っていれば目を救えたと思うことが多いのです。今回の私の眼科の本を読めば良く分かります。写真にある目の本は角川書店より9月24日に発売予定です。定価は税別で1200円です。アマゾンでも予約販売しています。大手の本屋さんでも予約できます。ぜひ私の本を読んで、あなたやあなたの家族の目を守ってください。